JICAのHPを散策していたら、コロンビア大教授のJoseph Stiglitz氏が来日するとのこと!
7月30日に緒方貞子氏とともに基調講演を行うようです。
大物二人の講演だ!チェック↓
http://www.jica.go.jp/press/2007/070711_1.html
というわけで本日は珍しく(初めて)、経済学修士課程の大学院生っぽいブログを書いてみようと思います。
スティグリッツはひげもじゃで「情報の非対称性の下での市場分析(analyses of markets with asymmetric information)」の功績で、カリフォルニアバークレー校教授のアカロフとスタンフォード大のスペンスとともに2001年にノーベル経済学賞を受賞しました。でもノーベル経済学賞を受賞するよりずっと前に、若手有望な経済学者に贈られるジョン・ベイツ・クラーク賞の受賞をしてるはずです。
「情報の非対称性の下での市場分析」を途上国の文脈だけから考えると---たとえば、伝統的な途上国農村においてなんで公的な銀行とか保険とか供与されないのか分析してます。こういう経済で小作と地主がどんな戦略的な契約を結んでるのか分析してます。そいで何で途上国経済が成り立つ(あるいは成り立たない)のか分析してます。法の整備とかが進んでいない途上国経済特有の性質に着目してこうした分析をしてきてるのですね。
最近は、
”Making Globalization Work The Next Steps to Social Justice”
”Globalization and Its Discontents”
といった一般向けの本を出版して、グローバリゼーションについて声を大にしています。一見、
「世界に格差をバラ撒いたグローバリズムを正す 」
「世界を不幸にしたグローバリゼーションの正体」
という邦題をみると、超・アンチ・グローバリゼーション的な人と勘違いしてしまいそうですが、そうではありません。
グローバリゼーションは必要かつ不可逆的なものである。と同時に、途上国には市場の不完備性や解決困難な情報の非対称性という特有の問題がある。だからこそ、新古典派的・新自由主義的な経済政策の下にグローバリゼーションを進めていくと、格差を生み途上国を周辺に追いやる、といってるのです。要は、「”新自由主義的な”グローバリゼーション」「ワシントン・コンセンサス(注)」に反対。「グローバリゼーション」そのものはむしろ肯定的にみています。
このひげもじゃの偉人さんがどんなこと考えてるかもっと知りたい方、緒方氏と何を話すのかわくわくする方、JICAの講演行ってみましょう!
以上ほんのちょこっと経済院生っぽいブログでした。
*ワシントンコンセンサス:
(1)財政赤字の是正、(2)補助金カットなど財政支出の変更、(3)税制改革、(4)金利の自由化、(5)競争力ある為替レート、(6)貿易の自由化、(7)直接投資の受け入れ促進、(8)国営企業の民営化、(9)規制緩和、(10)所有権法の確立 (quotation from Wikipedia)
0 件のコメント:
コメントを投稿